売主もしくは売主の指定する建築会社と請負契約を結ぶことを条件に販売している宅地のことを「建築条件付き土地(または「条件付き宅地」)と言います。
「建築条件付き土地」と「新築一戸建て住宅(建売住宅)」として販売されている物件の最大の違いは、プランニングの自由度。通常の建売住宅では、一部のセレクトプランやオプションを除き、原則として細かな注文をつけることはできません。しかし、条件付き土地なら、間取りから設備まで好みに応じたプランが可能で、施工会社指定という一点以外は、注文住宅とほぼ同じように家を建てることができます。
一戸建てマイホームをお探しで、一般的な間取りでは満足できない方や、思い通りの家を建てたい方、二世帯住宅などの特別な要望がある方には、この「条件付き土地」も選択肢のひとつになります。
条件付き土地と建売住宅には、それぞれ以下のような特徴があります。
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自由度が高い「条件付き土地」ですが、施工会社指定のため、工法までは選べません(一部例外を除く)。
同じ「条件付き土地」といっても会社によって仕組みが異なるので、設計や設備・仕様、施工時期などにどの程度自由度があるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
条件付き土地の取引では、まず土地売買契約を結びますが、建物の請負契約が交わされてはじめてこの土地売買契約が有効になります。土地売買契約から建物請負契約までの期間は、原則として3ヶ月以内と定められ、この間にある程度まで設計プランを固めて建築請負契約を結ぶ必要があります。いったん土地売買契約をしても、設計プランがまとまらない、気にいらない等で建物請負契約に至らなかった場合、土地売買契約は白紙になり、手付金などは全額返還されます。
一定期間の借地権がついた土地に建つ住宅のことで、「借地借家法」で期間終了後は更地にして返すことが定められています。土地の売買が発生しないため、土地代金はゼロ(※1)、契約後に毎月定められた地代を払う仕組みになります。
建物のみ購入するという性質上、通常の土地付き一戸建てよりも低価格で、一戸建ての暮らしを実現することができます。最も多い「一般定期借地権」では賃借期間は50年以上で、地代の相場は毎月数万円程度が一般的です。
※1 別途、「保証金」「権利金」「敷金」等の名目で初期費用がかかります。
一戸建てを選ぶ理由のひとつに、土地は資産として残るという考え方がありますが、定期借地権付き住宅の場合は、一戸建てとはいえ土地は自分の資産にはなりません。当然、土地を子供に残したいという方には向かない制度です。
一方で、土地を財産として所有することにこだわらない方であれば、土地付き一戸建てに比べて比較的軽い負担で一戸建ての住環境を手に入れられるので、メリットは多いといえます。
担保となる土地がないぶん、土地付き一戸建てと比較すると住宅ローンの借入可能額は少なくなります。定期借地権付き住宅を検討するなら、建物の代金をある程度までまかなえる自己資金を用意しておく必要があります。
契約期間中にライフスタイルが変わる可能性はゼロではありません。契約解除する場合や、増改築・建替えなどの場合にどういった制限があるか、契約期間中に建物を賃貸に出す場合の取り決めなどを確認し、書面に残しておくほうが安心です。
期間満了時には更地にする費用(200〜300万円前後)がかかることもあらかじめ見込んでおきましょう。
なお、定期借地権付き住宅は平成4年から始まった制度で、まだ期間満了を迎えた例がありません。将来的には不透明な部分があることを知っておいてください。